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『あの子が踊っていた場所』

それは
海が見える丘で
彼女の髪が
風に揺れていて

話すのが苦手で
笑うのが下手で
ただ
踊るのが好きだった
そんなあの子がいつも
人に隠れて
踊っていた場所が

この世界の
どこかにあったんだ
知っていたのは
風と海と
丘の大地と草と
太陽の光

雨の日だって
踊っていたさ
息を切らして
髪を濡らして
スニーカー濡らしてさ

風が問いかける
海が
草や花が
彼女に問いかける
どうして
そんなにいつも
踊っているの?

だってわたし
わたし、踊りたいの

あの子が
踊っていた場所
息を切らして
息が続く限り
息が止まるまで


五月の風の中で
あの子が
踊っていた場所は
だからもう
探さずにいよう

今もどこか
海が見える
どこかの丘で
踊っているから
風と光と
草と花と大地の中で
踊っているから

もう、あの子のことは
探さずにいよう