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『追伸』
ずっと
想い
つづけていれば
いつか また
会えると
信じていたけれど
どうやら
今度 別の人が
ぼくを 好きに
なってくれそう
なので
これから ぼくは
あなたを
忘れることにする
こんなふうに
なることが
ぼくたちにとって
一番
よかった
ことなのか
どうかは
わからない
何度も
激しい雨に打たれ
ひとり
夜の都会を
さまよい歩き
ぼくの
愚かさを責め
あなたを
失うことの
いたみから
のがれようとして
無理に 誰かを
愛そうとも した
そのたびに
ぼくの中で
あなたの面影は
美しくなり
あなたと
出会ったことが
今では 夢の中の
できごとのように
やさしく
あまりにも
やさしく
ことあるごとに
ぼくを
かばおうと
してくれるので
あなたの前で
あんなに
わがままだった
少年も
今は ただ
あなたに
ありがとうと
つぶやいて
いるのです
歳月は
そんなふうに
やさしく
人から
いくせんの面影を
少しずつ
忘れさせ
忘れゆくことで
けれど
人は 荷を下ろし
また
やり直すことも
許され
また
いくせんの面影を
失うことで
いとおしさを
学んでゆくと
いうように
歳月は
静かに いつも
人の前を
ゆっくり
流れ去ってゆく
どうやら
そんなふうに
この世界は
つくられて
いるようです
ずっと
想い
つづけていれば
いつか また
会えると
思っていたけれど
今朝
久しぶりに
何十年かぶりに
少年の日のような
風が ふいに
やさしく
ぼくのほおに
吹いてきたので
何だか もう
そろそろ
あなたを
ぼくから
自由にして
あげなきゃ
いけないと
そんな気がして
追伸
今日 ぼくは
あなたを
忘れることに
しました