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『おばあさんのかくれんぼ』
家の庭は花園で
そのまん中に
イスが置かれ
いつも
おばあさんが
腰を下ろし
花を見たり
日向ぼっこしたり
通り過ぎる人に
笑いかけたり
していた
それが ある日
イスは
坐る人をなくし
家族は けれど
なんとなく
そのままに
しておいた
それでも
あいかわらず
花は咲き
太陽の日は昇り
通りを
人がゆき交った
それでも
ある日
空いたそのイスに
てんとう虫が
すわり
蝶がすわり
またある日
落葉がすわり
冬には雪が
腰を下ろした
雪は
春になるまで
そこに
たたずんでいた
じっと
しずかに
白く
おばあさんのように
すわっていた
また
庭の花が
芽を出すまで
すわっていた
だから
おばあさんが
おばあさんの次に
どこに隠れたか
だれも知らない
てんとう虫の中か
蝶の中か
落葉の中か
雪の中か
土の中か
だあれも知らない