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『雪のピアノ』
<序>
雪のピアノ
雪の一片
何かに
当たるたびに
音が生まれ
散ってゆく
一片自体の持つ
音と
当たる場所の持つ
音とが
響きあう
一片はすぐに
散ってゆくけど
雪は
降りしきるので
演奏は止まらない
降る強さ
量
雪の種類により
また
風
太陽の光
月の光の
そして
人の
影響を受け
曲が
千変万化する
雪の弾き語り
街に降る雪
河に降る雪
山に降る雪
海に降る雪
高原に降る雪
湖に降る雪
田舎に降る雪
都会に降る雪
どれも
違う音色だ
雪の弾き語り
夜明けに降る雪
朝に降る雪
昼に降る雪
たそがれに降る雪
真夜中の雪
時より
強弱
音量を
変えながら
雪の弾き語り
港に降る雪
船に降る雪
空港に降る雪
飛行機の
翼に降る雪
駅に降る雪
電車の窓に
あたる雪
人々の
心の中で
弾ける
雪の弾き語り
花に降る雪
草に降る雪
街灯に降る雪
ショウウィンドウに
あたる雪
映画のポスターに
降る雪
屋根に降る雪
窓ガラスにあたる雪
線路に降る雪
野良猫に降る雪
人の背中に降る雪
コートに降る雪
ブーツに降る雪
きみのほおに
落ちて解けた雪
今のは
きみの涙だね
隠しても
音色の違いで
わかるのさ
雪の弾き語り
粉雪
ぼた雪
みぞれに
あられ
風に舞う雪
地面に降る雪
アスファルトに降る雪
雪の上に降る雪
いくつも
いくつも
重なって
きらきら
きらきら
照り返して
人の足跡
消してゆく
いくせんの
人の涙を
かばうように
「身代わりに
なれたらいいな」
雪の弾き語り
そして
静かに
解けて
お終い