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『冷たい指に白い雪』
指の冷たい人ほど
心は
あったかいから
だいじょうぶだよ、
と言われた
少年の日
どうして
かじかんだ
指で弾く
ピアノの音ほど
心に響くのか
今なら
わかる気がする
放課後の音楽室
並んで
ピアノの
練習をした
少女の指は
少女の指が
ぼくの指に
まちがって
ふれた時に
おどろいて
「つめたい」と
叫んだ後で
微笑んだ
少女の指は
けれど
あたたかかった
指の冷たい人ほど
心は
あったかいから
だいじょうぶだよ
冷たい指の人ほど
しあわせに
なれたらいいな
でも
やっぱり
かじかんだ指じゃ
うまくつかめない
うまく
しあわせは
つかめそうにない
気がした
いつもなら
無邪気に
ふりしきる雪を
両手で
つかまえながら
家路についていた
ぼくも
その日だけは
少女の指の感触
とっておきたくて
じっとポケットに
手を
突っ込んだまま
黙って歩いた
ふりしきる
雪の中を
歩いていた
ふりしきる
雪の中で
心のあたたかい
人になりたい、と
思っていた
少年の日